買うならどっち? 志田ひとみさんのクチュール・ニット 模様編み250 と 棒針の模様編み集260 の違いについて 【編み物】【棒針編み】【編み物本】



こんにちは、スザンナです。
みなさん、あっという間に暑くなってしまいましたねえ。
夏バテ対策の前に、夏風邪をひいてしまいました。
ゼリーが大好きなんですが、最近ゼリーも高くなって、なかなか手が出せないので、自分で作ってみようとレシピをプリントアウトしてラミネート加工してみました。
その様子はこちらの動画でご覧いただけます。
ラミネートしておくと、濡れた手で触っても大丈夫だし、汚れても洗えるので、本当に便利です。是非よかったらお試しください。

https://youtube.com/live/S8qQ5Zfj4Yo



❖クチュール・ニットといえば志田ひとみさん


繊細で技巧的、エレガントな編み目で世界中にファンを持つ志田ひとみさん。
出版されている本も少なく、「増補改訂版 クチュール・ニット 模様編み250」と、「新装版 クチュール・ニット 棒針の模様編み集260」、恐らくこの2冊が一番有名なのではないかと思います。

さて、この2冊、皆さんはどちらを買いますか?

この2冊の違いについて御存知ですか?

どちらも欲しいけど予算的に1冊しか買えないなあという方や、同じ内容がかぶっていたらいやだなあという方、単純に数が多い方を選んじゃいそうという方、やっぱり新刊の方が良さそうと思う方、いろいろいらっしゃると思いますが、買う前に知っておくと役立ちそうなことなどをまとめておきたいと思います。



❖誰でも気づく違いについてまとめてみました


模様の数による違い

模様の数を表紙だけで判断しますと、250と260に分かれています。
単純に加算して510模様あるなら2冊買う必要性もありそうですが、重複している可能性も考慮すると、実際のところこの2冊で一体何模様あるのかは2冊を買って比べた方しか分からないところです。
250と260の違いは何なのでしょう?260は後から10模様足されたのでしょうか?
それでは出版日を比べてみましょう。

出版日による違い

250の方は増補改訂版として2021/10/12に再出版されました。
260の方は新装版として2020/12/24に再出版されています。
あら、新しい方の方が模様の数が少ないの?と思われたかもしれません。
ですが、ちょっと待ってください。どちらも増補改訂版と新装版なんです。
ということで初版を探す必要が出てきました。
これについては後程まとめます。
じゃあ、実際のところ、どっちが売れてるのでしょう?

ランキングによる違い

2025年6月6日現在のデータなので、今後このブログの内容の影響次第で変動が生まれるかもしれませんが、250は現在アマゾンで800位くらい、260は300位くらいにランキングされています。
単純に考えて、2.5倍くらい売り上げに差があるように見えます。
やっぱり模様の数の10個の違いがお得感があるのかしら?と思いたくなります。
では、お値段には差があるのでしょうか?

※2025年6月10日現在、250はアマゾンで165位に急上昇、260は315位と変わらずです。

値段による違い

どちらも税抜き2500円で大型本として販売されています。
お値段による違いはなさそうです。
あら、でもちょっと待ってください。
大型本しか売られてないのでしょうか?昨今は電子書籍も増えているので、電子書籍もあるか調べてみます。電子書籍はお値段が少しお得なんですよね。

媒体による違い

250の方は紙ベースのみでの販売となっています。
260の方は電子書籍としても購入できます。
なるほど~、250は電子書籍が無いのですね。
このあたりはランキングに大きく関係するかもしれませんが、電子書籍と紙媒体はランキングが別々になっていました。
大型本はバッグを選ぶし、持ち運ぶのも少し重いです。電子書籍なら何冊持ち運んでも同じ大きさ、同じ重さです。
さらに、電子書籍は紙ベースよりも400円程度安く購入できます。
400円の違いは大きいです。
でも、どうして250は電子書籍化しないのでしょう?
何か秘密が隠されてそうです。

では、深読みしていきましょう!



❖さまざまなファクターから2冊の違いをまとめてみます


初版について

先ほど後回しにした初版についてまずは調べてみました。
クチュール・ニット 模様編み250は、2005/11/18出版です。
クチュール・ニット 棒針の模様編み集260は、2015/11/1出版です。
なんとこの2冊目が出るまでに10年のスパンがありました。
この10年にどのような変化が生まれたのか気になります。
ということで出版はやはり250が先だったようです。


目次を見比べてみました


※このページの最下部に立ち読み先のリンクを残しておきます。詳しくはそちらでご確認ください。



増補改訂版クチュール・ニット 模様編み250の目次

透かし模様
地模様
模様のアレンジメント
交差模様
パネル模様
エジング
記号の編み方
作品の編み方



ということで、全144ページの内容となっています。
聞いたことのないパネル模様という呼び名があります。一体どういうことなのか気になります。
それから、作品の編み方、に惹かれました。どうも模様編みだけでなく作品の編み方も収録されているみたいですね。これは気になります。

続いて、

新装版 クチュール・ニット 棒針の模様編み集260の目次

透かし模様
地模様&交差模様
パネル模様
模様編みのアレンジ
分散増減目模様(丸ヨーク)
エジング
記号の編み方



ということで全143ページの内容となっています。
ページの違いはほとんどありませんが、目次に大きな変化があります。
まず、250では個別特集だった地模様と交差模様がひとつにまとめられています。もしかすると数が減ったのかもしれません。
それから、新しく丸ヨークの編み方に使われる分散増減目模様が追加されました。これは分散増し目や分散減らし目が苦手な方なら気になるところだと思いますし、デザインにより幅が生まれますよね。
あ、でも、ちょっと待って。
250にはあった作品の編み方という項目が見当たりません。
これはもう圧倒的に模様重視ということなのでしょうか?

ちなみに、電子書籍版は新装版ではなく、初版でした。


ということでもう少し詳しく掘り下げてみます。


ページ配分を調べてみました


増補改訂版クチュール・ニット 模様編み250の目次より逆算

透かし模様     42ページ
地模様             16ページ
模様のアレンジメント        14ページ
交差模様            22ページ
パネル模様        16ページ
エジング            9ページ
記号の編み方                 5ページ
作品の編み方                16ページ

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新装版 クチュール・ニット 棒針の模様編み集260の目次より逆算

透かし模様                        34ページ
地模様&交差模様           20ページ
パネル模様                       16ページ 
模様編みのアレンジ       16ページ
分散増減目模様(丸ヨーク)        8ページ
エジング                            33ページ
記号の編み方                   12ページ



これだけだと少し分かりにくいですね。

ということでページ配分の上位からランキング形式で並べ替えてみて、もう少し詳しく調べてみましょう。



ページ配分をランキングしてみました


増補改訂版クチュール・ニット 模様編み250の目次より

1. 透かし模様     42ページ
2. 交差模様            22ページ
3. 地模様             16ページ
4. パネル模様        16ページ
5. 作品の編み方                16ページ
6. 模様のアレンジメント        14ページ
7. エジング            9ページ
8. 記号の編み方                 5ページ


この書籍では透かし模様に注力されている様子がうかがえます。
また、エジングにはそれほど注力されていないようです。
作品の編み方も丁寧に記されている様子がうかがえるので、どのような作品が含まれていたのかもう少し詳しく知りたいです。


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新装版 クチュール・ニット 棒針の模様編み集260の目次より

1. 透かし模様                        34ページ
2. エジング                            33ページ
3. 地模様&交差模様           20ページ
4. パネル模様                       16ページ 
5. 模様編みのアレンジ       16ページ
6. 記号の編み方                   12ページ
7. 分散増減目模様(丸ヨーク)        8ページ


透かし模様がそれでも一番ページを割いて説明されていますが、250よりも8ページ少なくなっていることから2015年ごろには透かし模様があまり好まれていなかったのかもしれません。

それと入れ替わるように、エジングに割かれているページが大幅に増えています。250ではたったの9ページでしたが33ページに増えています。透かし模様とほぼ同数ページであり、さらに新しい内容が多く掲載されていることは容易に想像がつきますから、本来はこれがメインともいえたのでしょうが、やはりエジングを本の前半に持ってくることに出版社も多少の抵抗があったのかもしれませんね。ただ、買う側の印象としては、ページを増やすためにエジングをたくさん掲載されたのかもしれない、とも感じてしまう構成になりかねません。でも、作者としては、いえいえ、このエジングこそメインなのです、と言いたい部分でもあるかもしれません。その部分は見てみないと分からないので、一体どういう内容が追加されたのか気になります。

そして、250では地模様と交差模様は合計で38ページもあったのですが、約半分の20ページに減っていることが分かります。2015年ごろは、立体的で重みのあるデザインがあまり好まれていなかったのでしょうか?

そして、個人的に一番気になっていた分散増減目ですが、割いてあるページはたったの8ページしかなく、記号の編み方のページよりも少ないことが判明しました。これを主目的でこの本を購入してしまうと後で後悔するかもしれません。これを主目的として買っても良いのかどうかは立ち読みしないと何とも言えない気がします。

模様編みのアレンジに関しては2ページ増えているので少し新しい内容が追加された気もします。

パネルに関しては同数ページとなっているので、恐らく同じ内容が重複しているのだと思います。

ということで立ち読みしてみます。



立ち読みした結果見えたこと


増補改訂版クチュール・ニット 模様編み250

透かし模様(レース編み)        1-97(97)
地模様(交互に続く連続模様)    98-132(35)
模様のアレンジメント(連続模様の隙間に模様を加える)    133-158(26)
交差模様(いわゆるケーブル模様やブレイド模様)        159-206(48)
パネル模様(真ん中を中心に左右対称に模様を縦向きに配置)    207-221(15)
エジング(裾のゴム編みや縁取りの模様編み)    222-250(29)
記号の編み方
作品の編み方


【模様の数のランキング】

1. 透かし模様         97模様
2. 交差模様             48模様
3.    地模様                      35模様
4.    エジング                 29模様
5.    模様のアレンジメント        26模様
6.    パネル模様            15模様


【含まれている作品】

透かし模様(ハイネックのプルオーバー)
地模様(クルーネックのノースリーブニット)
模様のアレンジメント(半袖プルオーバーとマーガレット)
交差模様(Vネックカーディガン)
パネル模様(タートルネックのラグランセーター)


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新装版 クチュール・ニット 棒針の模様編み集260

透かし模様(省略)    1-84 (84)
地模様&交差模様(省略)    85-128 (44)
パネル模様(省略)    129-143 (15)
模様編みのアレンジ(基本の編み目とアレンジされた編み目が並んで表示されている)    144-173 (30)
分散増減目模様(丸ヨーク)(一つの模様の数を少しずつ増やしたり変更しながら全体の編み目を均等に増やしたり変更していく手法)    174-187 (14)
エジング(従来の裾のゴム編みの変化や縁飾りに加えてフリルが追加された)    188-260 (73)
記号の編み方


【模様の数のランキング】

1. 透かし模様         84模様
2. エジング             73模様
3.    地模様&交差模様                     44模様
4.    模様編みのアレンジ                 30模様
5.    パネル模様        15模様
6.    分散増減目模様           14模様


【含まれている作品】

透かし模様(フリル付きのミニスカーフ)
地模様&交差模様(ソックス)
パネル模様(交差と透かし模様の帽子)
模様編みのアレンジ(可愛いデミグラブ)
分散増減目模様(丸ヨーク)(エレガントな襟飾り)



立ち読みした結果分かったこと


増補改訂版クチュール・ニット 模様編み250

より上級者向けの本格的な衣類の編み方が掲載されています。

志田ひとみさんの名前を世界的に広めたともいえる、ゴム編みの豪華なアレンジはこのエジングに含まれています。よって、続く著書でエジングにページが割かれたのも納得できます。

各項目の違いが若干分かりづらい表示であるような気もします。例えば、私は透かし模様と地模様と交差模様について、多少理解しているつもりですが、志田さんの場合、どれもこれも繊細で複雑なデザインのため、その境界線が見えにくくなっている気がしました。

パネル模様は、一般的に皆さんご存知のアランであったり、ガーンジーであると思うのですが、その本来の目的は自分で模様を選び組み合わせていく楽しみだと思います。ただ、志田さんにとっては、そのパネル自体のデザインを生み出すこともお好きなのかも知れません。志田さんならではの感性で組まれたパネルはいくつもの模様が組み合わさった芸術作品にも見えます。

唯一の難点は、増し目や減らし目の分散方法が記載されていないことで、それについて基本を押さえている方であれば、あとはアレンジ次第でいくつも増やしながら楽しめるところかとは思いますが、志田さんならではの増し目の方法も勉強されたい方は260が向いているように思います。


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新装版 クチュール・ニット 棒針の模様編み集260

掲載されている作品が編み物を始めて、基本のパターンなら編める人を対象にアレンジを目的とした小さな作品が多く掲載されています。恐らく根気を失わないような配慮と、良い毛糸は高いので、少ない毛糸で小さくても良いものを編めるように、予算も昨今の経済状況に合わせてくださったのかもしれません。

先ほどもお伝えしましたが、地模様と交差模様の境界線が見えにくかったという点を考慮されたのか、一緒にまとめてくださったのには理由があるのかもしれない、と思いました。

分散増し目に関しては、実際のところ14模様しか掲載がないため、見てそのまま編みたい方がすぐに使えるテクニックではないということが分かりました。ただ、基本を理解すれば、いくらでも無限に応用が利く部分なので、全くその理論が分からない、という方で志田さんの本のご注文を検討されている場合にはお勧めできる本と言えます。

また、志田さんと言えばエジングという呼び名の裾の編み方の第一人者でもあると思うので、今回も精力的に新しい試みを取り入れてくださったように思います。フリルが追加されたのは、分散増減目模様と重なる部分でもあるので、この本での志田さんの取り組みは模様というよりも増し目だったのではないか、と思います。

そして、模様編みのアレンジに関してはこちらの本の方が格段に見やすいです。基本とアレンジを並べて配置してくださっているので、どこがどう変わっているのか、一目でわかる点も評価できます。



❖結果、買うならどっち?


そうなんですよね。結果、どっちを買うのか、という当初の課題。
ここまで見てくると、正直、難しいところはあります。
ただ、ただね、自分の実際のテクニックと毛糸代まで含めた予算を考慮するなら、初心者でも編めそうな小物が掲載されている点で、「新装版 クチュール・ニット 棒針の模様編み集260」に私は心が傾いています。
これが何十年と編み物をしてきて上級者だったなら「増補改訂版 クチュール・ニット 模様編み250」を選んだと思います。
そして、私は電子書籍はあまり使わないのですが、出張や外出が多い生活だったなら電子書籍の「新装版 クチュール・ニット 棒針の模様編み集260」を買うような気がします。

なぜなら、いろいろ内容を充実させて下さった努力はもちろん分かりますし、この2冊にはもっと違いがあるのだ、ということも理解しています。
ただ、それはそれで別の基本を押さえた本の方が、分散増し目についても、そのほかの方法についても詳しく書いてあると思うし、より簡単な題材で練習できるので、ハードルが低いような気もするんです。
だから、とりあえずは、立ち読みできる編み目を編んでみて、はまったなら買ってみることをお勧めしようかな、と思いました。

いえ、本当はね、このブログを書く前は「増補改訂版 クチュール・ニット 模様編み250」を買うつもりだったんです。すごく欲しかった。
綺麗な衣類を編んでみたかった。

でも、いろいろ調べていくうちに、自分にはそれに取り組める時間も能力も視力もちょっと無いかもしれないなあ、って思い始めて。
そしたら、突然、興味のなかった「新装版 クチュール・ニット 棒針の模様編み集260」の小さな靴下や、スカーフや帽子が魅力的に見えてきたし、シンプルなメリヤス編みのトップダウンのセーターの丸ヨークだけでもデザインを取り入れてみようかなって気にもなったし、そういう観点で見たら、ランキングの違いは納得のいくものだったんです。

ということで、私も多少技巧に走りがちなときがあるから、たまにはシンプルイズベストでやってみようかな、と思う1日になりました。
はい、今日の午前中のお仕事はここまで。

最後まで読んでくれてありがとう。

アマゾンのリンクと立ち読み先のリンクを残しておくので、よかったら見てね。
楽天もついでに付けておきますね。





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