棒針編みを始める前に...海外動画を見るときの注意点(参考動画も盛りだくさん)
視聴者さんからご指摘をいただいて、調べ始めるうちに、実は棒針編みには様々な手法が存在することが分かりました。
私はまだガーター編みもまともに編めない程度の知識しか持ち合わせてはいないのですが、夢は大変大きく、いつか自分で編み目を開発したり、模様や作品をデザインできるほどになりたいなどと大きな野望を抱いております( ´艸`)
ということで実際に編む前にまずは下準備として研究から始めたいと思います。
私が持っている昭和22年発行の主婦の友社「毛糸編物」という日本の編み物本には、大きく分けてイギリス式とドイツ式に分かれる、とありますが、要点としては、右手で糸を持つのがイギリス式で、左手で糸を持つのがドイツ式、という程度の内容で、もっと詳しく内容を知りたい私にとっては物足りなかったので、さらに調べることに。
この本で呼ばれているイギリス式は、アメリカ式(US/UK)と呼ばれている手法と同じです。
また、ドイツ式は、フランス式(コンチネンタル/大陸式)と呼ばれている手法と同じです。
さらに、フランス式と呼ばれる所以、実はヨーロッパ大陸では東と西で編み方が異なるという事実が判明しました。
イギリスは島国です。ヨーロッパに属してはいますが、日本人の私たちが、大陸の人である韓国や中国の人たちとは文化や考え方が異なってしまう島国ならではの独自発展を遂げたように、イギリスも少し特殊な環境です。だから、糸の持ち方も大陸の人は左手にかけますが、イギリス式(アメリカ式)では右手にかけるのかもしれません。
アメリカでは東ヨーロッパで発展してきた編み方をコンバインド(Combined Knitting)と称しています。
なぜなら、実はアメリカ式(English Knitting)もフランス式(Continental Knitting)もどちらも昭和初期の本に書いてある通り、右手で糸を持つ(Throwing)か左手で糸を持つ(Picking)かという違いしかないので、 実際に編むときの糸の法則と針の法則は全く同じなのです。(https://en.wikipedia.org/wiki/Combined_knitting)
つまり、アメリカでは大きく2種類に分けて、コンチネンタル、コンバインドと呼び分けています。
ここが実は大きな違いを呼んでいる点で、私自身が海外の編み物本と海外動画で編み物を学習しているので、日本でどのように教えられているかが分からないのですが、日本の編み物本で紹介されているのは主にフランス式(コンチネンタル)と呼ばれるものではないかと思います。その派生で持ち方がアメリカ式なのかフランス式なのか、という点だけで区別されています。
それ以外の紹介が日本の編み物本ではなかったのですが、実はフランス式とは異なる手法がヨーロッパには存在しています。
そして、そのもう一つの手法(東)とこのフランス式(西)を組み合わせてしまうことが、海外でもたびたびツイスト(ねじれ)で悩む棒針編み初心者が陥りやすい罠となっています。Combined Knitting(Combination Knitting)は、Wikipediaでは表編みの時にバックレッグを取ることでねじれの問題が解決する、と書かれいていますが、それこそが東ヨーロッパで使われている手法です。このコンバインドスタイルについては、Knitting Japanさんのブログ(「フランス式」vs.「コンビ式」)で知りました。ただ、書かれている内容に関しましては、それぞれ解釈が異なると思いますので、ここでは私がWikipediaを読んで解釈した内容で進めさせていただきたいと思います。ある部分は同じだと思いますが、ある部分は違う点もあるかと思いますが、ご容赦願います。
(https://en.wikipedia.org/wiki/Combined_knitting)
では、なぜ初心者はこのようなねじれの問題にたびたび直面してしまうのでしょう?
それはフランス式での裏目の編みにくさが原因だったのではないかとKnitting Japanさんもおっしゃられている通り、私も同感です。
なぜなら、問題となるのは、表目をフランス式(コンチネンタル)で編んで、裏目をコンバインド式で編むからです。
それがなぜ問題かというと、糸の向きが変わってしまうからです。しかし、この方法で編みますと、表目を編むときに抵抗が生じます。ですので、通常は少なからず編んでいる本人が糸の引きにくさなどを感じると思います。
なぜなら、裏目をコンバインドで編みますと、表面に裏返した際に、棒針にかかっているループはバックレッグのほうが手前に出てくるからです。その状態でフロントレッグを取るから、取りにくいのですが、バックレッグで取ると取りやすく編みやすさを感じると思います。フロントレッグ、バックレッグについては後程説明いたします。読んでからもう一度この部分を読んでいただけたら分かりやすいと思います。さらに今からご紹介する動画を合わせてご覧いただければ、理由を目で確認できますので、ぜひご覧くださいませ。
私が尊敬してやまないレッドハートのオフィシャル編み物デザイナー、Marly Birdさんが、このねじれの問題についてサンプルスワッチなども準備して動画を作ってくださっております。
英語でとっても早口&手も速いんですが、とっても楽しい方なので、興味がある方はぜひご覧になってみてください。
Marly Birdさんは、アメリカ式もフランス式もコンバインド式も自由自在に操れるすごい人です。この動画の中では彼女が元々コンチネンタル式なこともあり、メインはフランス式で説明されますが、同時にコンバインドの場合のやり方なども説明してくださりますので分かりやすいです。
(参考動画:Marly Birdさんのチャンネルより)
ちなみに、この問題を解決するには、表目も裏目もどちらも、コンバインド式(東ヨーロッパ方式)で編むと良いのです。
その違いを説明するには、まず糸と針の法則を説明する必要があります。
今回のブログの内容は、読んでいるだけでは分かりにくい点もあると思うので、いずれ日本語で動画にする予定です。
【ループ】
棒針にかかっているループは英語で名称が付けられています。
フロントレッグ(前足)とバックレッグ(後ろ足)です。
このフロントレッグが手前に来ているか、バックレッグが手前に来ているか、これが大切なポイントとなるのですが、今は単純に前足、後ろ足、と呼び分けられている、と覚えておきましょう。
■アメリカ式(イギリス式)US/UKまたはEnglish Knitting
■フランス式(ドイツ式)Western Knitting(Continental Knitting)
このフロントレッグ(前足)のみを使って編むのがアメリカ式とフランス式です。
イギリスやアイルランドで発展したガーンジーセーター、アランセーターなどは裏編みと表編みの組み合わせで編まれています。
そのため、凹凸のある編み目を、ケーブル編みのように右と左に糸を移動させながら、より速く合理的に編むためにフロントレッグを使う編み方が発展したのではないでしょうか。
■ロシア式(東欧式)Eastern Style(Combined Knitting)
コンバインドと私が呼んでいた編み方で、WikipediaではEasternと呼ばれている編み方だと思います。コンバインドと呼ばれる所以は、フロントレッグ(前足)とバックレッグ(後ろ足)を使い分けるからだと言われたら私自身は納得がいくんですけど。
もし、この問題視されているねじれが起こる(Westernフランス式とEasternロシア式がミックスされた)編み方をWikipediaに出てくる著者がコンバインドと呼んだのだとしたら、それはちょっとやはり問題があるように思います。
Wikipediaでは表編みをバックレッグを取って編むと良い、と書いてありますので、それに倣うようにしましょう。それがコンバインドの手法です。
コンビ式と呼ばれる編み方でいろいろ談議があるようですが、コンバインドはそれとは別物の成立した編み方です。
できればコンビ式という名称で本当のコンバインドの編み方が日本でも理解されると良いなあ、と思います。
ただ、私がまだいろいろな編み方ができないので、もしかすると編み目によっては得意不得意がこのコンバインド(ロシア式)とコンチネンタル(西欧式・フランス式)で存在するかもしれません。そのあたりも理解が深まればまたお話しできると良いなあ、と思います。
コンバインドはフロントレッグ(前足)とバックレッグ(後ろ足)を使い分けています。
このスタイルをロシア式(東欧式)と仮に呼ぶことにします。
このロシア式、動きも少なく編みやすい編み方で、特に裏目が編みやすいです。
フランス式の表目とロシア式の裏目が組み合わさって初心者のねじれの問題(日本で言われているコンビ式問題)を生み出した原因ではないかと思われます。
このねじれの問題は移民大国のアメリカでも共通の問題です。
このねじれの問題は、言語の壁を持ちながらいろんな国から編み物文化を翻訳輸入してきた島国の日本と、世界中からの移民がそれぞれの編み方を持ち寄ったアメリカに生じる独特の問題ではないかと思われます。
南アメリカ、アフリカなど、植民地支配を受けた国々では、言語と文化の両方が浸透しているので、ねじれの問題自体起こる要素が無いように思います。
話が横に逸れてしまいましたが、ロシア式では細い棒針を使うことが多く、それは寒い地域で最小限の動きで編んでいくことが可能だったからだろうと思われます。では、なぜ細い棒針で割と太めの糸を軽々と編んで複雑な模様が編めるのか、その理由は後程説明します。
また、これらの手法とは別にまだ編み方が存在しています。
■ノルウェー式 Norwegian Style
フランス式の派生だと思いますが、ノルウェー式と呼ばれる手法で、こちらもフランス式同様、フロントレッグ(前足)だけを使って編みます。
ノルウェー式とは裏編みの時だけに違いを強調するために呼ばれている手法で、フランス式が難しい人が使うと編みやすいと思いますが、最初見たときは複雑怪奇、踊っているようで一体どうやって編んでいるのか分かりませんでした。
北欧ではフェアアイルと呼ばれる手法が一般的だと思いますが、このフェアアイル、実は輪編みで編んでいくため、表目で編みます。ですから、ノルウェー式と呼ばれる裏目が存在したことが実は少し驚きでした。あ、でもセーターの袖口などを編むときに必要ですね。ただ、この動き、とてもきれいなのでぜひとも真似してみたい編み方の一つです。
■トルコ式 Turkish Style
さらに、もう一つ、トルコ式と呼ばれる手法があります。こちらはバックレッグ(後ろ足)だけを使ってかぎ針で編むように猛スピードで編んでいくのですが、なぜ中東の人があれほど編むのが速いのか、それを如実に表した編み方です。中東の人は少し太めの棒針と細い毛糸を使って編みます。針先は少し丸いような気もします(余談:アメリカのレッドハート社の棒針の先端は恐ろしく尖ってます)。ところが編みあがる編み目は大変繊細で、太い棒針を使って編んだとは思えないほど整った編み目です。しかも、その編むスピードが異常に速いのです。編み物が中東で生まれたことを実感させてくれる点です。
このバックレッグで編むというやり方は、東南アジアの少数民族が、その民族独特の刺繍模様を表から見ながら針を刺すのではなく、裏から模様を見ずに刺すやり方と大変似ています。自分で見ながら編むのではなく、何世代にもわたって受け継いだ模様が頭に入っているからこそできる時間の短縮技。何個も同じものをたくさん作って売り歩いた民族の証です。
これらは実際に目で見ながら1点物の繊細な作品を作りたい西洋人には合わない点です。
編み物が中東で生まれてから、形を変えながら西洋に伝わった経緯、それがバックレッグ(後ろ足)からフロントレッグ(前足)に移って行った経緯とも思えてなりません。
他にも、ペン持ちで絵を描くように編んでいく南米の方などもいらっしゃいました。南米のスタイルがどれに所属するかについては、また調べてご紹介したいと思います。南米はスペインとポルトガルの植民地でしたので、ブラジル以外はスペインの手法を受け継いでいると個人的に思っています。ですので、まだ確認しきれていませんが、恐らくコンチネンタル式だと思います。
以上が、フロントレッグ(前足)、バックレッグ(後ろ足)が地域によりどのように使われているかという説明でした。次に、毛糸のかけ方について説明していきたいと思います。
【毛糸のかけ方】
さて、次に重要なのが、毛糸のかけ方です。
前述のバックレッグ(後ろ足)とフロントレッグ(前足)使い分けるだけでは、棒針編みの問題は解決しないのです。
そこには、ヤーンオーバーとヤーンアンダーという違いがあります。
コンビ式が問題、とKnitting Japanさんがおっしゃったのは、このヤーンオーバー、ヤーンアンダーとフロントレッグ、バックレッグの組み合わせを間違えている場合に限られていると思います。 本来の通りの東欧式で編めばねじれの問題はありません。他に生ずるかもしれない可能性につきましては、私自身の理解力が深まるとともに答えが出ると思いますので、それはいずれ確認していきたいと思いますが、今のところ、ねじれに関してはコンバインドでも問題はありません。
そして私も最初Knitting Japanさんがおっしゃるコンビ式、コンチネンタル(フランス式)とコンバインド(東欧式)のミックスで編んでしまっていました。
というのも、言い訳がましいのですが、理由があるのです。
私は下でご紹介するロシアの方の動画が大好きで、その方があまりに美しい動きで編まれるので棒針編みを編みたくなったという経緯があります。以来、棒針編みを見るときはほぼロシアの動画を見ていました。何しろ、誰の動画も全て本当に手の動きが美しいのです。まだ見たことない方は、ぜひ下のロシア式の動画をご覧ください。これが本当のコンバインドです。
そのまま真似したら良かったのですが、慎重な性格が災いして、日本の編み物本で編み方を確認したことが間違いの原因となってしまいまいました。
表編みの針を入れる位置が、フランス式だったからです。
おそらく、日本の編み物を習った人には、私のロシア式の裏編みが変に思えたのだと思います。ご指摘くださった視聴者さんに感謝です。このおかげで今回、いろいろ知ることが出来ました。
さて、では、できるだけシンプルに分かりやすく説明してみます。
毛糸のことを英語でヤーン(Yarn)と言います。それをまず覚えてください。
主人公はいつでも毛糸です。いつでも毛糸目線で見るようにしてみてください。
ヤーンオーバー(Yarn Over)、ヤーンアンダー(Yarn Under)とは、毛糸と棒針の上下の位置関係を端的に表した表現です。
ヤーンオーバー(Yarn Over)とは、毛糸(ヤーン)が棒針より上(オーバー)になっていること、それをヤーンオーバー(毛糸が上)と呼びます。
ヤーンアンダー(Yarn Under)とは、毛糸(ヤーン)が棒針より下(アンダー)になっていること、それをヤーンアンダー(毛糸が下)と呼びます。
実際にどのように使い分けられているかといいますと、実はこれがさらに物事を複雑にしているのですが、ここにバックレッグ(後ろ足)とフロントレッグ(前足)の組み合わせ、 さらに並行して、右から左(外から内)に入れるべきなのか、左から右(内から外)に入れるべきなのか、という組み合わせが絡んできます。
実は、棒針編みとは、
①毛糸の位置
②ループの位置
③針を刺す向き
の3つの組み合わせで成り立っているんです。
もう一度話をねじれの問題に戻します。
裏編みでフロントレッグ(前足)をヤーンアンダー(毛糸が下)で編みますと、表編みの際に、バックレッグ(後ろ足)のほうがループの手前(Forward)に出てきます。
それを無視してわざわざループの後ろに鎮座しているフロントレッグ(前足)とヤーンアンダー(毛糸が下)で編んでしまうと、前段の編み目と現段の編み目がループの前後で入れ替わってしまいます。これが俗にいうツイスト(ねじれ)です。
毎段編み目を入れ違いに編んでいると考えていただけると分かりやすいかもしれません。そして、その入れ違いにもねじれのない編み目(手前で編んでいる)とねじれがある編み目(奥で編んでいる)の2種類が存在しています。
もう何を言っているのか分からない、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、これは上述のマーリーさんの動画を見ていただければお分かりになると思います。
マーリーさんは、「表編みはフランス式(Continental)であれロシア式(Combined)であれ常に手前(Forward)に来ている足(レッグ)を取らなければならない」とおっしゃってます。手前を取るとねじれず、後ろを取るとねじれます。
例えば、下でご紹介しているロシア式の複雑な編み方も、よく見てみると、バックレッグ(後ろ足)が手前に来ているときは表編み、フロントレッグ(前足)が手前に来ているときは裏編み、というように編み分けているのが分かります。その理論を理解しているから悩みもなくスムーズに編めているわけです。 (【ループ】欄のロシア式を参照)
この、他愛もなく見えるちょっとしたルールを軽視すると、あとあと編み目や編み方の大きな問題として立ちはだかってきます。編み物を実際に始める前に、私が先に研究しておいた方が良い、と判断した理由も実はこれが原因です。
また、日本の編み物本が一貫して、アメリカ式とフランス式の編み方のみを掲示している理由もここにあるような気がします。他の手法を紹介するだけで、ひとつの手法ににつき手間暇が倍増するのですから、当たり前といえば当たり前です。
それに、アメリカとフランスがファッションにおける2大大国だったという点からも、主に輸入されるパターンはアメリカかフランスに限られたでしょうし、アメリカ式でもフランス式でもどちらでも全く同じ手法で編めるわけですから、どちらの場合も説明が1回で済むので大変メリットが高かったのだと思います。
ところが、日本でも事態は急変しつつあります。
言語と知識の問題があるので海外動画を見る人は私が思っているより少ないかもしれません。
しかしながら、今は動画全盛期、世界中の様々な動画をいつでも見ることが出来ます。
ところが、棒針編みの動画はいわば無法地帯というか、手法ごとの分類ができていないので、上述の理論を理解せずに見てしまうと、いろんな手法が知らない間に混ざってしまって、間違える原因ともなります。(私がそう)
ただ、このブログの内容を100%理解して動画を見るようになると、見るだけでどの編み方かも分かるようになるでしょうし、違う編み方の国の手法でも自分が編みやすい編み方に変更するにはどうしたらいいか、なども分かるようになると思います。
じゃあ実際にどうやって編んだら正解なのでしょう?
それでは最後の難関、針を刺す向きの話に移りましょう。
【①右から左(外から内)、②左から右(内から外)】
針を刺す場所、糸のかけ方が分かっても、針の刺し方が分からないと、結局のところいつまでも正しい編み方を理解できないままになってしまいます。
最後は針の刺し方のお話です。
針は、
①右から左、外から内に向かって刺す場合と、
②左から右、内から外に向かって刺す場合があります。
これも明確な理由があります。
原則は編み地がねじれないように編むことが大前提です。
棒針編みは2段で1セットです。行きと帰り。
メリヤス編みを編む場合、必ず行きと帰りで方向をそろえないと目がねじれます。ねじれると目がばらついて見える、上手に見えない、突っ張る、編み方によっては針の差し替えが必要になる、などの問題点も出てきます。
では、実際にどのように使い分けられているかを説明します。
参考動画もご紹介させていただきました。
地域別にご紹介していきます。
■アメリカ式(イギリス式)US/UKまたはEnglish Knitting
■フランス式(ドイツ式)Western Knitting(Continental Knitting)
■ノルウェー式 Norwegian Style
表編み(K):針をループのフロントレッグ(前足)に、左から右(内から外)に刺し、ヤーンアンダーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します
アメリカ式の特徴:右手で糸を持ち、Throwingと呼ばれる手法で糸を投げるようにしながら編みます。右回り、左回りに投げ分けることでスピードアップができます。
表編みでは右回り(時計回り)に糸を投げて編みます。
また、太めの棒針で緩めに編んで、利き手の棒針をぎゅっと体と反対側に引っ張ることで糸を引き締めます。
フランス式の特徴:左手で糸を持ち、Pickingと呼ばれる手法で糸を針先で引っかけるように編みます。
表編みでは左手の人差し指に引っかけた糸を左回り(反時計回り)右手を右回り(時計回り)に動かして編みます。
裏編み(P): 針をループのフロントレッグ(前足)に、右から左(外から内)に刺し、ヤーンオーバーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します (どの方法がやりやすいかは動画を参考にしてみてください)
アメリカ式の特徴:右手で糸を持ち、Throwingと呼ばれる手法で糸を投げるようにしながら編みます。右回り、左回りに投げ分けることでスピードアップができます。
裏編みでは左回り(反時計回り)に糸を投げて編みます。
また、太めの棒針で緩めに編んで、利き手の棒針をぎゅっと体と反対側に引っ張ることで糸を引き締めます。
フランス式の特徴:左手で糸を持ち、Pickingと呼ばれる手法で糸を針先で引っかけるように編みます。
左手の人差し指に引っかけた糸を左回り(反時計回り)、右手を左回り(反時計回り)に動かして編みます。
ノルウェー式の特徴:左手で糸を持ち、糸を巻き付けるようにしながら引っかけたら利き手を回すようにしながら編みます。ヤーンアンダーに見える糸の引っかけ方も、実はすでに最初にヤーンオーバーの状態で針を刺しているので問題がありません。ループをぎゅっと引っ張ることで先に編んだ目をしっかりと落ち着かせることが出来ます。右手を右に振って糸を絡めてから左に戻しながら糸をだします。さらに利便性が良いのが、左手人差し指にかかっている毛糸が、常に左の棒針の下に来ているので、表編みを編むような感覚で編める点です。左手の人差し指は左回り(反時計回り)で糸を引っかけています。
■ロシア式(東欧式)Eastern Style(Combined Knitting)
表編み(K):針をループのバックレッグ(後ろ足)に、右から左(外から内)に刺し、ヤーンアンダーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します
裏編み(P): 針をループのフロントレッグ(前足)に、右から左(外から内)に刺し、ヤーンアンダーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します (左手人差し指で糸を下げて針を入れたらはじくとやりやすいです)
ロシア式編み方の特徴:左手の人差し指に糸をかけて、細い棒針で緩く編んでいきます。どちらの編み目も右から左(外から内)に刺すことで動き少なく糸の抵抗を減らしているので、細い棒針でも太めの毛糸で繊細な模様を編むことが出来ます。ゆっくり編んでくださってますが、流れるような動きであっという間に模様が出来ていきます。
(参考動画:Вязание, мастер-классы, Хобби-блогерさんのチャンネルより)
■トルコ式 Turkish Style
表編み(K):針をループのバックレッグ(後ろ足)に、右から左(外から内)に刺し、ヤーンオーバーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します
裏編み(P): 針をループのバックレッグ(後ろ足)に、左から右(内から外)に刺し、ヤーンアンダーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します (左手親指で糸を下げて針を入れたら弦を弾くように編んでらっしゃいます)
トルコ式編み方の特徴:左手の人差し指に糸を引っかけて、すべてバックレッグで裏側から編んでいきます。
バックレッグで編むことで手前の糸が邪魔にならず大きく針を動かすことが出来るので、太めの針でも締めながら目の詰まった生地に編み上げることが出来ます。
特筆すべきは裏編みのスピードで、まるで三味線を弾くかのように編んでいくスピードは圧巻です。
(参考動画:Ören Hanımさんのチャンネルより)
私のように間違っても平気な厚顔無恥な性格もたまにはこうしてご褒美をいただけるものです。
また、このブログの内容に関しましても、後日間違いや追記、改善点などがあれば随時変更していくと思いますので、気になる方は時々お立ち寄りくださいませ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
続きはこちら(https://susannashobbies.blogspot.com/2019/07/knitting3-garter-stitches-in-3-methods.html)
よろしければ私の動画チャンネルも見てくださいね。
私はまだガーター編みもまともに編めない程度の知識しか持ち合わせてはいないのですが、夢は大変大きく、いつか自分で編み目を開発したり、模様や作品をデザインできるほどになりたいなどと大きな野望を抱いております( ´艸`)
ということで実際に編む前にまずは下準備として研究から始めたいと思います。
私が持っている昭和22年発行の主婦の友社「毛糸編物」という日本の編み物本には、大きく分けてイギリス式とドイツ式に分かれる、とありますが、要点としては、右手で糸を持つのがイギリス式で、左手で糸を持つのがドイツ式、という程度の内容で、もっと詳しく内容を知りたい私にとっては物足りなかったので、さらに調べることに。
この本で呼ばれているイギリス式は、アメリカ式(US/UK)と呼ばれている手法と同じです。
また、ドイツ式は、フランス式(コンチネンタル/大陸式)と呼ばれている手法と同じです。
さらに、フランス式と呼ばれる所以、実はヨーロッパ大陸では東と西で編み方が異なるという事実が判明しました。
イギリスは島国です。ヨーロッパに属してはいますが、日本人の私たちが、大陸の人である韓国や中国の人たちとは文化や考え方が異なってしまう島国ならではの独自発展を遂げたように、イギリスも少し特殊な環境です。だから、糸の持ち方も大陸の人は左手にかけますが、イギリス式(アメリカ式)では右手にかけるのかもしれません。
アメリカでは東ヨーロッパで発展してきた編み方をコンバインド(Combined Knitting)と称しています。
なぜなら、実はアメリカ式(English Knitting)もフランス式(Continental Knitting)もどちらも昭和初期の本に書いてある通り、右手で糸を持つ(Throwing)か左手で糸を持つ(Picking)かという違いしかないので、 実際に編むときの糸の法則と針の法則は全く同じなのです。(https://en.wikipedia.org/wiki/Combined_knitting)
つまり、アメリカでは大きく2種類に分けて、コンチネンタル、コンバインドと呼び分けています。
ここが実は大きな違いを呼んでいる点で、私自身が海外の編み物本と海外動画で編み物を学習しているので、日本でどのように教えられているかが分からないのですが、日本の編み物本で紹介されているのは主にフランス式(コンチネンタル)と呼ばれるものではないかと思います。その派生で持ち方がアメリカ式なのかフランス式なのか、という点だけで区別されています。
それ以外の紹介が日本の編み物本ではなかったのですが、実はフランス式とは異なる手法がヨーロッパには存在しています。
そして、そのもう一つの手法(東)とこのフランス式(西)を組み合わせてしまうことが、海外でもたびたびツイスト(ねじれ)で悩む棒針編み初心者が陥りやすい罠となっています。Combined Knitting(Combination Knitting)は、Wikipediaでは表編みの時にバックレッグを取ることでねじれの問題が解決する、と書かれいていますが、それこそが東ヨーロッパで使われている手法です。このコンバインドスタイルについては、Knitting Japanさんのブログ(「フランス式」vs.「コンビ式」)で知りました。ただ、書かれている内容に関しましては、それぞれ解釈が異なると思いますので、ここでは私がWikipediaを読んで解釈した内容で進めさせていただきたいと思います。ある部分は同じだと思いますが、ある部分は違う点もあるかと思いますが、ご容赦願います。
(https://en.wikipedia.org/wiki/Combined_knitting)
では、なぜ初心者はこのようなねじれの問題にたびたび直面してしまうのでしょう?
それはフランス式での裏目の編みにくさが原因だったのではないかとKnitting Japanさんもおっしゃられている通り、私も同感です。
なぜなら、問題となるのは、表目をフランス式(コンチネンタル)で編んで、裏目をコンバインド式で編むからです。
それがなぜ問題かというと、糸の向きが変わってしまうからです。しかし、この方法で編みますと、表目を編むときに抵抗が生じます。ですので、通常は少なからず編んでいる本人が糸の引きにくさなどを感じると思います。
なぜなら、裏目をコンバインドで編みますと、表面に裏返した際に、棒針にかかっているループはバックレッグのほうが手前に出てくるからです。その状態でフロントレッグを取るから、取りにくいのですが、バックレッグで取ると取りやすく編みやすさを感じると思います。フロントレッグ、バックレッグについては後程説明いたします。読んでからもう一度この部分を読んでいただけたら分かりやすいと思います。さらに今からご紹介する動画を合わせてご覧いただければ、理由を目で確認できますので、ぜひご覧くださいませ。
ねじれが起こる理由 |
英語でとっても早口&手も速いんですが、とっても楽しい方なので、興味がある方はぜひご覧になってみてください。
Marly Birdさんは、アメリカ式もフランス式もコンバインド式も自由自在に操れるすごい人です。この動画の中では彼女が元々コンチネンタル式なこともあり、メインはフランス式で説明されますが、同時にコンバインドの場合のやり方なども説明してくださりますので分かりやすいです。
(参考動画:Marly Birdさんのチャンネルより)
ちなみに、この問題を解決するには、表目も裏目もどちらも、コンバインド式(東ヨーロッパ方式)で編むと良いのです。
その違いを説明するには、まず糸と針の法則を説明する必要があります。
今回のブログの内容は、読んでいるだけでは分かりにくい点もあると思うので、いずれ日本語で動画にする予定です。
【ループ】
棒針にかかっているループは英語で名称が付けられています。
フロントレッグ(前足)とバックレッグ(後ろ足)です。
このフロントレッグが手前に来ているか、バックレッグが手前に来ているか、これが大切なポイントとなるのですが、今は単純に前足、後ろ足、と呼び分けられている、と覚えておきましょう。
■アメリカ式(イギリス式)US/UKまたはEnglish Knitting
■フランス式(ドイツ式)Western Knitting(Continental Knitting)
このフロントレッグ(前足)のみを使って編むのがアメリカ式とフランス式です。
イギリスやアイルランドで発展したガーンジーセーター、アランセーターなどは裏編みと表編みの組み合わせで編まれています。
そのため、凹凸のある編み目を、ケーブル編みのように右と左に糸を移動させながら、より速く合理的に編むためにフロントレッグを使う編み方が発展したのではないでしょうか。
■ロシア式(東欧式)Eastern Style(Combined Knitting)
コンバインドと私が呼んでいた編み方で、WikipediaではEasternと呼ばれている編み方だと思います。コンバインドと呼ばれる所以は、フロントレッグ(前足)とバックレッグ(後ろ足)を使い分けるからだと言われたら私自身は納得がいくんですけど。
もし、この問題視されているねじれが起こる(Westernフランス式とEasternロシア式がミックスされた)編み方をWikipediaに出てくる著者がコンバインドと呼んだのだとしたら、それはちょっとやはり問題があるように思います。
Wikipediaでは表編みをバックレッグを取って編むと良い、と書いてありますので、それに倣うようにしましょう。それがコンバインドの手法です。
コンビ式と呼ばれる編み方でいろいろ談議があるようですが、コンバインドはそれとは別物の成立した編み方です。
できればコンビ式という名称で本当のコンバインドの編み方が日本でも理解されると良いなあ、と思います。
ただ、私がまだいろいろな編み方ができないので、もしかすると編み目によっては得意不得意がこのコンバインド(ロシア式)とコンチネンタル(西欧式・フランス式)で存在するかもしれません。そのあたりも理解が深まればまたお話しできると良いなあ、と思います。
コンバインドはフロントレッグ(前足)とバックレッグ(後ろ足)を使い分けています。
このスタイルをロシア式(東欧式)と仮に呼ぶことにします。
このロシア式、動きも少なく編みやすい編み方で、特に裏目が編みやすいです。
フランス式の表目とロシア式の裏目が組み合わさって初心者のねじれの問題(日本で言われているコンビ式問題)を生み出した原因ではないかと思われます。
このねじれの問題は移民大国のアメリカでも共通の問題です。
このねじれの問題は、言語の壁を持ちながらいろんな国から編み物文化を翻訳輸入してきた島国の日本と、世界中からの移民がそれぞれの編み方を持ち寄ったアメリカに生じる独特の問題ではないかと思われます。
南アメリカ、アフリカなど、植民地支配を受けた国々では、言語と文化の両方が浸透しているので、ねじれの問題自体起こる要素が無いように思います。
話が横に逸れてしまいましたが、ロシア式では細い棒針を使うことが多く、それは寒い地域で最小限の動きで編んでいくことが可能だったからだろうと思われます。では、なぜ細い棒針で割と太めの糸を軽々と編んで複雑な模様が編めるのか、その理由は後程説明します。
また、これらの手法とは別にまだ編み方が存在しています。
■ノルウェー式 Norwegian Style
フランス式の派生だと思いますが、ノルウェー式と呼ばれる手法で、こちらもフランス式同様、フロントレッグ(前足)だけを使って編みます。
ノルウェー式とは裏編みの時だけに違いを強調するために呼ばれている手法で、フランス式が難しい人が使うと編みやすいと思いますが、最初見たときは複雑怪奇、踊っているようで一体どうやって編んでいるのか分かりませんでした。
北欧ではフェアアイルと呼ばれる手法が一般的だと思いますが、このフェアアイル、実は輪編みで編んでいくため、表目で編みます。ですから、ノルウェー式と呼ばれる裏目が存在したことが実は少し驚きでした。あ、でもセーターの袖口などを編むときに必要ですね。ただ、この動き、とてもきれいなのでぜひとも真似してみたい編み方の一つです。
■トルコ式 Turkish Style
さらに、もう一つ、トルコ式と呼ばれる手法があります。こちらはバックレッグ(後ろ足)だけを使ってかぎ針で編むように猛スピードで編んでいくのですが、なぜ中東の人があれほど編むのが速いのか、それを如実に表した編み方です。中東の人は少し太めの棒針と細い毛糸を使って編みます。針先は少し丸いような気もします(余談:アメリカのレッドハート社の棒針の先端は恐ろしく尖ってます)。ところが編みあがる編み目は大変繊細で、太い棒針を使って編んだとは思えないほど整った編み目です。しかも、その編むスピードが異常に速いのです。編み物が中東で生まれたことを実感させてくれる点です。
このバックレッグで編むというやり方は、東南アジアの少数民族が、その民族独特の刺繍模様を表から見ながら針を刺すのではなく、裏から模様を見ずに刺すやり方と大変似ています。自分で見ながら編むのではなく、何世代にもわたって受け継いだ模様が頭に入っているからこそできる時間の短縮技。何個も同じものをたくさん作って売り歩いた民族の証です。
これらは実際に目で見ながら1点物の繊細な作品を作りたい西洋人には合わない点です。
編み物が中東で生まれてから、形を変えながら西洋に伝わった経緯、それがバックレッグ(後ろ足)からフロントレッグ(前足)に移って行った経緯とも思えてなりません。
他にも、ペン持ちで絵を描くように編んでいく南米の方などもいらっしゃいました。南米のスタイルがどれに所属するかについては、また調べてご紹介したいと思います。南米はスペインとポルトガルの植民地でしたので、ブラジル以外はスペインの手法を受け継いでいると個人的に思っています。ですので、まだ確認しきれていませんが、恐らくコンチネンタル式だと思います。
以上が、フロントレッグ(前足)、バックレッグ(後ろ足)が地域によりどのように使われているかという説明でした。次に、毛糸のかけ方について説明していきたいと思います。
【毛糸のかけ方】
さて、次に重要なのが、毛糸のかけ方です。
前述のバックレッグ(後ろ足)とフロントレッグ(前足)使い分けるだけでは、棒針編みの問題は解決しないのです。
そこには、ヤーンオーバーとヤーンアンダーという違いがあります。
コンビ式が問題、とKnitting Japanさんがおっしゃったのは、このヤーンオーバー、ヤーンアンダーとフロントレッグ、バックレッグの組み合わせを間違えている場合に限られていると思います。 本来の通りの東欧式で編めばねじれの問題はありません。他に生ずるかもしれない可能性につきましては、私自身の理解力が深まるとともに答えが出ると思いますので、それはいずれ確認していきたいと思いますが、今のところ、ねじれに関してはコンバインドでも問題はありません。
そして私も最初Knitting Japanさんがおっしゃるコンビ式、コンチネンタル(フランス式)とコンバインド(東欧式)のミックスで編んでしまっていました。
というのも、言い訳がましいのですが、理由があるのです。
私は下でご紹介するロシアの方の動画が大好きで、その方があまりに美しい動きで編まれるので棒針編みを編みたくなったという経緯があります。以来、棒針編みを見るときはほぼロシアの動画を見ていました。何しろ、誰の動画も全て本当に手の動きが美しいのです。まだ見たことない方は、ぜひ下のロシア式の動画をご覧ください。これが本当のコンバインドです。
そのまま真似したら良かったのですが、慎重な性格が災いして、日本の編み物本で編み方を確認したことが間違いの原因となってしまいまいました。
表編みの針を入れる位置が、フランス式だったからです。
おそらく、日本の編み物を習った人には、私のロシア式の裏編みが変に思えたのだと思います。ご指摘くださった視聴者さんに感謝です。このおかげで今回、いろいろ知ることが出来ました。
さて、では、できるだけシンプルに分かりやすく説明してみます。
毛糸のことを英語でヤーン(Yarn)と言います。それをまず覚えてください。
主人公はいつでも毛糸です。いつでも毛糸目線で見るようにしてみてください。
ヤーンオーバー(Yarn Over)、ヤーンアンダー(Yarn Under)とは、毛糸と棒針の上下の位置関係を端的に表した表現です。
ヤーンオーバー(Yarn Over)とは、毛糸(ヤーン)が棒針より上(オーバー)になっていること、それをヤーンオーバー(毛糸が上)と呼びます。
ヤーンアンダー(Yarn Under)とは、毛糸(ヤーン)が棒針より下(アンダー)になっていること、それをヤーンアンダー(毛糸が下)と呼びます。
実際にどのように使い分けられているかといいますと、実はこれがさらに物事を複雑にしているのですが、ここにバックレッグ(後ろ足)とフロントレッグ(前足)の組み合わせ、 さらに並行して、右から左(外から内)に入れるべきなのか、左から右(内から外)に入れるべきなのか、という組み合わせが絡んできます。
実は、棒針編みとは、
①毛糸の位置
②ループの位置
③針を刺す向き
の3つの組み合わせで成り立っているんです。
もう一度話をねじれの問題に戻します。
裏編みでフロントレッグ(前足)をヤーンアンダー(毛糸が下)で編みますと、表編みの際に、バックレッグ(後ろ足)のほうがループの手前(Forward)に出てきます。
それを無視してわざわざループの後ろに鎮座しているフロントレッグ(前足)とヤーンアンダー(毛糸が下)で編んでしまうと、前段の編み目と現段の編み目がループの前後で入れ替わってしまいます。これが俗にいうツイスト(ねじれ)です。
毎段編み目を入れ違いに編んでいると考えていただけると分かりやすいかもしれません。そして、その入れ違いにもねじれのない編み目(手前で編んでいる)とねじれがある編み目(奥で編んでいる)の2種類が存在しています。
もう何を言っているのか分からない、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、これは上述のマーリーさんの動画を見ていただければお分かりになると思います。
マーリーさんは、「表編みはフランス式(Continental)であれロシア式(Combined)であれ常に手前(Forward)に来ている足(レッグ)を取らなければならない」とおっしゃってます。手前を取るとねじれず、後ろを取るとねじれます。
例えば、下でご紹介しているロシア式の複雑な編み方も、よく見てみると、バックレッグ(後ろ足)が手前に来ているときは表編み、フロントレッグ(前足)が手前に来ているときは裏編み、というように編み分けているのが分かります。その理論を理解しているから悩みもなくスムーズに編めているわけです。 (【ループ】欄のロシア式を参照)
この、他愛もなく見えるちょっとしたルールを軽視すると、あとあと編み目や編み方の大きな問題として立ちはだかってきます。編み物を実際に始める前に、私が先に研究しておいた方が良い、と判断した理由も実はこれが原因です。
また、日本の編み物本が一貫して、アメリカ式とフランス式の編み方のみを掲示している理由もここにあるような気がします。他の手法を紹介するだけで、ひとつの手法ににつき手間暇が倍増するのですから、当たり前といえば当たり前です。
それに、アメリカとフランスがファッションにおける2大大国だったという点からも、主に輸入されるパターンはアメリカかフランスに限られたでしょうし、アメリカ式でもフランス式でもどちらでも全く同じ手法で編めるわけですから、どちらの場合も説明が1回で済むので大変メリットが高かったのだと思います。
ところが、日本でも事態は急変しつつあります。
言語と知識の問題があるので海外動画を見る人は私が思っているより少ないかもしれません。
しかしながら、今は動画全盛期、世界中の様々な動画をいつでも見ることが出来ます。
ところが、棒針編みの動画はいわば無法地帯というか、手法ごとの分類ができていないので、上述の理論を理解せずに見てしまうと、いろんな手法が知らない間に混ざってしまって、間違える原因ともなります。(私がそう)
ただ、このブログの内容を100%理解して動画を見るようになると、見るだけでどの編み方かも分かるようになるでしょうし、違う編み方の国の手法でも自分が編みやすい編み方に変更するにはどうしたらいいか、なども分かるようになると思います。
じゃあ実際にどうやって編んだら正解なのでしょう?
それでは最後の難関、針を刺す向きの話に移りましょう。
【①右から左(外から内)、②左から右(内から外)】
針を刺す場所、糸のかけ方が分かっても、針の刺し方が分からないと、結局のところいつまでも正しい編み方を理解できないままになってしまいます。
最後は針の刺し方のお話です。
針は、
①右から左、外から内に向かって刺す場合と、
②左から右、内から外に向かって刺す場合があります。
これも明確な理由があります。
原則は編み地がねじれないように編むことが大前提です。
棒針編みは2段で1セットです。行きと帰り。
メリヤス編みを編む場合、必ず行きと帰りで方向をそろえないと目がねじれます。ねじれると目がばらついて見える、上手に見えない、突っ張る、編み方によっては針の差し替えが必要になる、などの問題点も出てきます。
では、実際にどのように使い分けられているかを説明します。
参考動画もご紹介させていただきました。
地域別にご紹介していきます。
【コンチネンタル式】 ※日本の棒針編みで推奨されている編み方
同じ編み目が編みあがりますが、編み方に若干差があり、3種類ほどに分かれています。
■アメリカ式(イギリス式)US/UKまたはEnglish Knitting
■フランス式(ドイツ式)Western Knitting(Continental Knitting)
■ノルウェー式 Norwegian Style
表編み(K):針をループのフロントレッグ(前足)に、左から右(内から外)に刺し、ヤーンアンダーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します
アメリカ式動画 |
アメリカ式の特徴:右手で糸を持ち、Throwingと呼ばれる手法で糸を投げるようにしながら編みます。右回り、左回りに投げ分けることでスピードアップができます。
表編みでは右回り(時計回り)に糸を投げて編みます。
また、太めの棒針で緩めに編んで、利き手の棒針をぎゅっと体と反対側に引っ張ることで糸を引き締めます。
フランス式動画 |
フランス式の特徴:左手で糸を持ち、Pickingと呼ばれる手法で糸を針先で引っかけるように編みます。
表編みでは左手の人差し指に引っかけた糸を左回り(反時計回り)右手を右回り(時計回り)に動かして編みます。
裏編み(P): 針をループのフロントレッグ(前足)に、右から左(外から内)に刺し、ヤーンオーバーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します (どの方法がやりやすいかは動画を参考にしてみてください)
アメリカ式動画 |
アメリカ式の特徴:右手で糸を持ち、Throwingと呼ばれる手法で糸を投げるようにしながら編みます。右回り、左回りに投げ分けることでスピードアップができます。
裏編みでは左回り(反時計回り)に糸を投げて編みます。
また、太めの棒針で緩めに編んで、利き手の棒針をぎゅっと体と反対側に引っ張ることで糸を引き締めます。
フランス式動画 |
フランス式の特徴:左手で糸を持ち、Pickingと呼ばれる手法で糸を針先で引っかけるように編みます。
左手の人差し指に引っかけた糸を左回り(反時計回り)、右手を左回り(反時計回り)に動かして編みます。
ノルウェー式動画 |
ノルウェー式の特徴:左手で糸を持ち、糸を巻き付けるようにしながら引っかけたら利き手を回すようにしながら編みます。ヤーンアンダーに見える糸の引っかけ方も、実はすでに最初にヤーンオーバーの状態で針を刺しているので問題がありません。ループをぎゅっと引っ張ることで先に編んだ目をしっかりと落ち着かせることが出来ます。右手を右に振って糸を絡めてから左に戻しながら糸をだします。さらに利便性が良いのが、左手人差し指にかかっている毛糸が、常に左の棒針の下に来ているので、表編みを編むような感覚で編める点です。左手の人差し指は左回り(反時計回り)で糸を引っかけています。
(参考動画:Garn Studioさんより)
【コンバインド式(コンビネーション式)】
一般的にロシアに伝えられた編み方です。
アメリカでは主にロシア系の移民がこの編み方で編んでいます。
表編み(K):針をループのバックレッグ(後ろ足)に、右から左(外から内)に刺し、ヤーンアンダーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します
裏編み(P): 針をループのフロントレッグ(前足)に、右から左(外から内)に刺し、ヤーンアンダーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します (左手人差し指で糸を下げて針を入れたらはじくとやりやすいです)
ロシア式動画 |
(参考動画:Вязание, мастер-классы, Хобби-блогерさんのチャンネルより)
【その他】※主に中東
約3000年前に編み物が始まった編み物文化の聖地
全てはここから始まりました
■トルコ式 Turkish Style
表編み(K):針をループのバックレッグ(後ろ足)に、右から左(外から内)に刺し、ヤーンオーバーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します
裏編み(P): 針をループのバックレッグ(後ろ足)に、左から右(内から外)に刺し、ヤーンアンダーでループに新しい糸を通し、古い糸を外します (左手親指で糸を下げて針を入れたら弦を弾くように編んでらっしゃいます)
トルコ式動画 |
バックレッグで編むことで手前の糸が邪魔にならず大きく針を動かすことが出来るので、太めの針でも締めながら目の詰まった生地に編み上げることが出来ます。
特筆すべきは裏編みのスピードで、まるで三味線を弾くかのように編んでいくスピードは圧巻です。
(参考動画:Ören Hanımさんのチャンネルより)
以上、いかがでしたでしょうか?
他にもいろいろ素晴らしい動画は世界中にあります。
今まで、海外動画の編み方が良くわからない、という理由で、海外動画を敬遠していた人もいるかもしれません。ですが、上記の手法を理解すれば、編んでいる手元をよく見たらその人が何式で編んでいるのか分かるようになると思います。
私もはっきりと分かるようになったのは、ほんの昨日のことです。
でも、私でも調べたら1日でここまでは分かるようになったのです。
本当はそれほど難しくないと思います。
同じ編み方は真似できなくても、その人がどの編み方をしているのかが分かれば、自分の編み方に応用することもできると思います。
そうして編み物の世界がもっともっと広がるならば、こんなに楽しいことってないと思うんです。
私のように間違っても平気な厚顔無恥な性格もたまにはこうしてご褒美をいただけるものです。
つまづくことで賢くなれる。
手法をミックスして間違えた動画をそのまま残しておいても良かったのですが、それをすると知らない人に誤解を与えてしまうので、今回は急遽非公開にしましたが、いずれそれぞれの編み方や陥りやすい間違いなども含めて、動画を作りたいと思います。
どうぞそれまで楽しみにお待ちいただけたら幸いです。
また、このブログの内容に関しましても、後日間違いや追記、改善点などがあれば随時変更していくと思いますので、気になる方は時々お立ち寄りくださいませ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
続きはこちら(https://susannashobbies.blogspot.com/2019/07/knitting3-garter-stitches-in-3-methods.html)
よろしければ私の動画チャンネルも見てくださいね。