教えて、スザンナ③ なぜ、編み始める前にやらなきゃならないの?【編み物】【かぎ針編み】【棒針編み】






みなさん、スザンナです。
今日は、教えて、スザンナの3回目で、「編み始める前にやらなきゃならないのはなぜ?」というタイトルでお話したいと思います。

素敵なパターンを見つけて、それを編みたいって思った時、みなさんはなにを考えますか?

これを編む技量が私にはあるかしら?
材料は簡単に手に入るかしら?
サイズは合うかしら?
このパターンは良く書かれているかしら?

それとも、いきなり編み始めますか?

ちょっと編み目だけでもお家の糸で練習してみようかしら?
あ、ちょうど同じようなサイズの糸があったから早速作ってみよう。
大人用だけど、子供に着せてあげたいから適当に作り直してみようかな。

アプローチは様々だと思います。

私はアプローチには拘りません。
編めるかどうか編み目を試すだけでも練習になります。
サイズを変えてみたい。これは万人の夢でもあります。
パターンに難しいところがないかよく読む姿勢は見習わなくてはなりません。
材料代の高いものは失敗したくないものです。

というわけで、編み始める前にやっておきたいことのいくつかをご紹介します。

そして、そうするべき理由もお話したいと思います。

それらの項目にはそれぞれ補助用の動画を添付していますので、合わせてご覧になると、より理解が深まる仕組みになっています。

また、項目によっては、補助的に新しいページを作成しておりますので、より深くお知りになりたい方は合わせてご覧ください。



1. これを編む技量が私にはあるかしら?



素敵なデザインを見つけたら、まず、それを編むために必要なテクニックやスキルレベルを確認します。

もし、あなたがまだ自分のことを初心者だと思っているのなら、スキルレベルは簡単までにしておくと無難でしょう。

もし、あなたが今より少しチャレンジしたいなら、一つ上のスキルレベルに挑戦してみましょう。

スキルレベルは次の4段階に分かれています。

1.初心者
2.簡単
3.中級
4.上級、または、経験値の高い人


初心者では物足りなくなったなら、簡単レベルに挑戦します。

ですが、ここで気をつけなければならないことは、このスキルレベルは国によって異なる、という点です。

例えば、ロシア圏では、編み物が義務教育の必須科目になっています。つまり、編み物を義務教育で習った人たちは、ほぼ国民の全員(女性だけかもしれませんが)が中級レベルくらいまで達していると考えた方が良さそうです。ですから、彼らが言う「簡単」と、私たちが思う「簡単」とでは、かなり大きな開きがあることを知っておくべきです。
同じく、南米やトルコの人たちの編み物レベルや各家庭における編み物の普及率も非常に高いため、注意が必要です。

YouTube動画で日本語タイトルや日本語字幕で出てくる海外のチャンネルの中には、「簡単」と書いてあるものをよく見かけますが、同じ簡単でも、レベルはまちまちであることを覚えておきましょう。

北米圏で一般的なスキルレベルのカテゴライズについてはこちらの動画をご参照ください。



スキルレベルの明確な区分についてのまとめはこちら





2. 材料は簡単に手に入るかしら?



続いて、材料を考慮します。

その素材が肌に合うかどうかは大切なポイントです。
肌が弱い人の場合、素材によっては合わないことがあります。そんな場合、代用できる素材の糸があるかどうかを調べます。
例えば、麻紐バッグのデザインが好きだけれど、麻紐はアレルギーが出るので使いたくない、という方は、紙紐やエコアンダリヤ、化繊のマクラメ糸などを使うと良いかもしれません。同じ太さの糸を選びましょう。重さにも気を付けます。素材によってはとても重くなるものがあります。



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着用するTPOにも深くかかわります。
例えばとてもカジュアルなものの場合、普段着として着用するなら、洗濯がしやすい素材かどうかが決め手となります。
お出かけ着ならクリーニングに出そうと思えるかもしれませんが、普段着のように頻繁に着るものの場合、家で洗濯できない素材は向いていません。
さらに、色落ちしやすいものは、汗をかく季節や一緒に合わせるものに気を付けましょう。大切な衣類や家具に色移りすると大変です。

糸が同じロット番号でそろえることが出来るかどうかも大切なポイントです。糸はロットによって染料を再配合したり、撚り直すため、色が変わったり、糸の太さや風合いが変わったりしてしまうのです。お料理で考えると簡単です。この前作った時となんとなく味や出来上がりが違う。それと同じです。

すぐに編まない場合は、売り尽くし品や限定品のように廃盤後に買い足しできない糸は選ばないようにしたり、余裕を持って買う必要があります。

もちろん、予算も考慮します。これは趣味や生活に関するものですから、予算が自分の生活水準に見合っているかどうかは大切な点です。お出かけ着のように特別なシーンに着用するためなどの理由がある場合は、良いものを選ぶ方がいいでしょう。







3. サイズは合うかしら?


そのパターンはどの程度あなたの体型に合うサイズが提供されていますか?
サイズが合わないところはありませんか?
合わないところがある場合、簡単に調整できそうですか?
これらは意外に見落とされやすい点でもあります。

例えば、日本の編み物本のほとんどは、1サイズで作られたパターンです。
ですから、素敵なデザインだけど、私の体には合わないなあ、というものもあります。

また、サイズを簡単に調整するために同じ糸を用いながら、針のサイズを変更することで対応しようとしているパターンも見かけます。
これについては、後ほどご説明しますが、問題点がありますから私はあまりお勧めしません。 (参照:ちょうど同じようなサイズの糸があったから早速作ってみよう。)

手前味噌のようになってしまうのでなんだか嫌なのですが、私は海外パターンで編み物を学んだ経緯から、全ての体型の人に適したパターンをそれぞれ提供することが必要であると考えています。既製服だってサイズが選べるのに、ましてや手作りなのにサイズが選べないのは本末転倒だと思うからです。
また、世界中の人たちに編み物を楽しんでもらいたい、という夢もあります。

ですから、私のパターンでは、大人サイズであれば基本的にXS~5XLまで分けています。このサイズは日本のサイズとは少し異なる場合があります。ですから、必ずそのサイズと一緒に簡単に計測できる数値も記載するようにしています。
その数値をもとに必要なサイズを選んでいただくことにしているのです。
もちろん全ての体型を網羅しているとは言い切れませんが、ある程度の体型に合わせて提供出来ているのではないかと思ってるんですけどいかがでしょう?









4. このパターンは良く書かれているかしら?



先ほどの話と重複する点もあるのですが、サイズが合うかどうかは一番のポイントです。必ず最初に確認しましょう。自分やご家族の体の寸法を知っておくことはとても良いことです。この癖をつけておくと、既製品を買う場合にも役立ちます。

季節に合っているかどうかも大切なポイントです。
編み目がぎっしり詰まっているものは寒い季節に向いており、透かしの多いものは暑い季節に向いています。
デザインも然りです。

また、読んでいて分かりにくいところがないかどうか、補助的な資料はあるかどうか、ない場合簡単に調べることができるかどうか、ということも考えます。

例えば、日本の編み物本の場合、ほぼ全てが編み図や用語、記号で構成されているので、予備知識が必要です。
ロシアの人たちが日本の編み物本を見ても難なく編めるのは、この予備知識を学校で習っているからでもあります。
日本もそうだったらもっと編み物が根付いたのに残念ですよね。

海外のパターンの場合、文章で書かれていることがほとんどなので、言語の問題が発生します。編み図が無い場合、文章のみではかなり想像力を働かせなくてはイメージがわかないものです。
本当は蝶々の編み方が説明されているのに、文章だけで書いてあるせいで、いったい何をしているのか自分でも分からない、ということがあります。蝶々のどの部分を編んでいるのかという憶測が働けば、先を予測したり、振り返って確認することもできるでしょう。
全体図、というのは意外と重要なのです。

ですから、編むかどうかを決める前に、パターンをよく読むことが大切です。

そして、どんなに細かく読んで理解したつもりでも、いざ編み始めてみると、必ず予想もしていなかった問題にぶつかります。
そういうものなのです。

ただ、その問題を解決するために調べたり研究することが自身の実力につながりますから、失敗は成功の元、ということわざの通り、成功するまで何度も挑戦することが大切です。諦めたら終わり、なのです。

そこで私がみなさんにおすすめしたいのは、自分なりにパターンを読み砕いて、描き直すという手順です。
順番を書いて、その時にやるべきことを書き足していくと、とても分かりやすくなるのです。


英語パターン、基本の読み方についてはこちら




大ブレイクのホロウアウトハット、英語パターンを一緒に見て編もう!









5. ちょっと編み目だけでもお家の糸で練習してみようかしら?



これはとても良い心掛けです。
実際は細い糸で編むものでも、太い糸で練習すれば編みやすく、覚えやすいです。
ゲージスワッチを編む場合も、いきなりサンプルを編むのではなく、何度か練習し、編むコツを身につけてからサンプルを編んだ方が、手も慣れており、目も揃いやすく、実際の編み地に近いテンションで編むことができます。 

サンプルを編む時は、その日一番に編むのではなく、しばらく何かを編んだ後で編むことをおすすめします。同時進行で何かを編んでいるのであれば、それを編んでから編むと自然なサンプルを編むことが出来るのです。

これは、楽器の運指や声楽の発生練習と同じです。
音楽の世界では、指や喉を温める、と言うのですが、編み物の世界でもまさにその通りのことが言えます。

どのくらいやれば良いのでしょう?
だいたい15分くらいやれば慣れてきます。
また、毎日この15分を続けるか続けないかで上達のスピードも変わります。
毎日お箸を持つように編み針を持つ癖を付けましょう。
編みたいものがないときは、ただ、余っている毛糸で何となく練習するだけでもいいのです。

特にお勧めしたいのは、声に出しながら編むことです。編み目にもリズムがあります。それは、図面を見ているだけでは分かりにくいものです。でも、声に出して編んでいると、あっ、と分かるものがあるのです。声に出しにくい時は、心の中で数えながら編むと良いですよ。

編み目を練習したい人向けに、動画シリーズ「かぎ針編みの模様編み辞典」をご用意しております







6. ちょうど同じようなサイズの糸があったから早速作ってみよう



編み物は、針のサイズと毛糸のサイズの2つで決まります。
パターンでは、同じサイズの針を使うことと、同じサイズの糸を使うことの両方が求められます。
なぜなら、針のサイズが同じでも、糸のサイズが違うと、同じゲージ(密度とサイズ)で編むことが出来ないからです。
同様に同じ糸を使っても針のサイズが異なると同じゲージで編むことが出来ません。

さらに、ここで大きな問題となることがあります。それは各個人の癖です。
同じ針のサイズ、同じ毛糸のサイズで編んでも、各個人が持つ手の癖で、同じゲージにならないことが良くあるのです。

ゲージはなぜ大切なのでしょう?

ゲージはこれから編むものの基準となる密度を数値で表したものです。
同じ数値で編めば、同じサイズ、同じ形に仕上がります。ですが、少しでも数値が異なると同じサイズや形に仕上がらなくなるのです。
これが、ゲージの魔力です。

パターンを編み始める前に必ずするべきことは、その材料が同じゲージになるかどうかを調べることです。
例え糸が指定のものと違ったとしても、まずは同じ針のサイズで編むことです。
それを基準に、求められるゲージからどの程度乖離しているのかを調べることから始めます。

同じゲージで編めたなら、指定とは違う糸でも使うことができます。ですが、ゲージが同じではない場合、条件が変わります。

ひとつ目の条件

かぎ針サイズを変えることで同じゲージになるのであれば、その糸を材料として使うことができます。
ならない場合はその糸は使えません。

ふたつ目の条件

ひとつ目の条件から外れた場合、糸に加工を加えてみます。
太さが足りないなら、細い糸を足してみる、2本取で編んでみる、など。
逆に、太さが規定を超えている物は使えないと考えましょう。
加工を加えて、規定の針のサイズでもう一度編んでみます。
同じゲージになるなら、その糸を使うことができます。

このひとつ目とふたつ目の条件を繰り返しながら、サイズを合わせて行きます。

その方法については、こちらの動画で詳しく説明していますのでご覧ください。




そして、ゲージを取る時は必ずブロッキングします。
なぜなら、ブロッキングした状態が完成形だからです。
ブロッキングにはいくつかの方法があります。
その中でも、一番基礎となる「水通し」の方法をご紹介します。








7. 大人用だけど、子供に着せてあげたいから適当に作り直してみようかな



これは、恐らく万人の夢でしょう。
ですが、ここが多分一番の難所でもあります。

私のパターンでも、無料で全てのパターンを公開しているものと、そうでないものがあります。
その違いは何かと言いますと、サイズの変更が簡単か難しいかです。

簡単なものであれば、私も説明が楽です。
ですが、1サイズずつ全て始まりから終わりまで計算が異なる場合、それを説明するのも時間がかかりますし、パターン化することも大変です。
ですから、簡単に1ページくらいで説明できるものなら無料、そうでないものは有料というような感じで分けています。
あるいは、無料で公開したパターンと動画をアレンジして他のデザインやサイズを作った場合も、パターンを有料にさせていただくことがあります。それは動画を作らないからでもあります。

また、スキルレベルとも連動するのですが、難易度が上がるに連れて、着心地の良いものが編めるということも事実です。
私の場合、ほとんどの有料パターンでは厳密に全てのサイズを細かく計算してパターン化しておりますので、難易度が自然と上がります。その結果、同じトップスでも、無料の簡単パターンに比べて体にフィットしやすくなっております。

ですが、編み物は決して難易度が上がることだけが重要ではないとも考えております。
お母さんやお婆さんが、お子さんやお孫さんのために、既成服を参考に、できる範囲の知識を用いて可愛らしいものを作ってあげることは愛情であり、愛情に勝るものはこの世の中に無いと考えるからです。
そこに不正解はありません。
やったことは全て自分の経験になります。
その経験はやった人にしか見えない神様からのご褒美なのです。
だから私は編み物が好きで、パターンを作ることが好きなのです。
頑張った分だけ、その努力が報われるからです。
ですから、みなさんもぜひご自身を信じて挑戦する気持ちを忘れないでください。

では、実際に作り直すにはどうしたらいいかと言いますと、基準となる物が必要になります。
お手元にあるサイズの良い既製品をサンプルに数値をもらうのが一番簡単でしょう。
その数値をもとに、先程編んだサンプルのゲージを当てはめていくので、結局ゲージサンプルを編むことは一番大切なことと言えます。

実際にどのようにすれば出来るか、ということについては動画にまとめましたので参考にしてください。



ライブ配信でリアルタイムに質問しながら動画で勉強できるシリーズ

自分サイズ、自分のデザインでタンクトップを編んでみよう

(別ページを作成しましたので、リンクまたは写真をタップしてください)

引用元:yarnspirations

素敵なアメカジデザインで編み物が楽しめる人気の毛糸メーカー、yarnspirationsさんの無料パターンシリーズは、いつ見てもワクワクドキドキして、すぐに編みたくなるデザインばかり。
本格的なパターンが数千種類から無料で選べるとあって世界中で人気です。

ただ、残念なのが、全て英語で書いてあること、基本的にはインチ表記なこと、編み図がほとんどないこと、糸のサイズが太いこと。
太い毛糸は、真夏のうだるような暑さに苦しむ私たち日本人には少し着心地が良くないのが難点です。やっぱり夏は夏向きの素材、太さで編みたいものですよね。
また、サイズ展開も欧米サイズなので、微妙なサイズ感の調整がしにくい欠点もあります。

そこで、yarnspirationsさんのおすすめの利用方法をご紹介します。


数千とある素敵なパターンには全て上記のような着用写真がカラーで掲載されています。
どのパターンも厳選された素敵な模様編みが使われていて、中には編み図があるものもあります。
その中から、自分の好きな形、好きな編み目、好きな糸を選んで、自分のサイズ、そして自分のデザインで編んでみるのはいかがでしょう?
大人用を子供用に作り替えることだってできますから、親子でおそろいを楽しむこともできますよ。

ということで、そのシリーズを別ページにご用意いたしました。
下記のリンクよりお越しくださいませ。




ライブ配信でリアルタイムに質問しながら動画で勉強できるシリーズ

自分サイズ、自分のデザインでタンクトップを編んでみよう

(別ページを作成しましたので、リンクまたは写真をタップしてください)

引用元:yarnspirations



ということで、お話ししてきました。
編み始める前に考えることややることは結構あって大変そうに見えるかもしれませんが、この手順を編むときの手順に加えて、毎回行うことで、自然と身につくようになると思います。
私も最初はゲージなんて、って思ってましたが、今は、ゲージを編むだけでデザインまでできてしまうことなど、うれしい特典がいっぱいあって、ゲージを編むことがすべての始まりになっています。
材料に関しても、ある物を組み合わせたり、探し出したりする喜びは冒険のようで大好きです。
どうぞこれからも編み物が皆様の良き友となって生活の彩となりますように。

それではまた次回お会いしましょう(#^^#)









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